Section 02
原点は、「お客様の立場で見る」ことでした
私がこの仕事を始めたときから、ずっと変わっていないことがあります。
それは、企業側の都合ではなく、お客様の立場で現場を見ることです。
企業には、方針があります。マニュアルがあります。販促計画があります。営業資料があります。現場からの報告もあります。けれど、それらがあることと、お客様がそのとおりに受け取っていることは、同じではありません。
「説明した」ことと、「伝わった」ことは違います。
「売場に置いた」ことと、「見つけてもらえた」ことも違います。
「提案した」ことと、「選ぶ理由になった」ことも違います。
この小さな違いを、私はずっと現場で見てきました。
覆面調査という方法から始まった会社ですが、私にとって大切だったのは「覆面」であることそのものではありません。企業の内側からは見えにくいものを、一人のお客様として確かめられることでした。
Section 03
現場は、誰かを責める場所ではありません
長く現場を見ていると、店舗やスタッフを評価するだけでは、本当の改善につながらないことが分かります。
現場で起きている問題の中には、現場だけでは解決できないものが少なくありません。
本部の意図が十分に伝わっていない。売りたい価値が、現場で説明しにくい。販促物は届いていても、使う理由が共有されていない。システムを導入した結果、お客様が迷う新しい場面が生まれている。営業担当者ごとに、価値の伝え方が変わっている。
こうしたことを、すべて「現場の努力不足」で片づけてしまえば、同じ問題はまた起きます。
だから私は、現場を「できている・できていない」を裁く場所ではなく、会社の仕組みが実際にどう機能しているかを教えてくれる場所だと考えています。
現場の事実から、本部の設計を見直す。営業の仕組みを見直す。商品や販促の伝え方を見直す。必要なら、そもそもの判断基準を見直す。
そこまでつながって初めて、現場を見る意味があると思っています。
Section 04
26年以上見続けてきて、強く感じること
セオンは26年以上にわたり、累計38万件を超える現場と向き合ってきました。その積み重ねの中で、私は一つのことを強く感じています。
本部では分かりやすい資料でも、お客様には分かりにくいことがあります。
全国で同じ施策を出しても、店舗によって見え方や使われ方が違います。
優秀な営業担当者が自然にやっていることが、会社の標準にはなっていない場合もあります。
一方で、一見すると「ズレ」に見えるものが、その会社らしさや強みになっていることもあります。全部を同じにすればよいわけでもありません。
だから、現場を見るときに大切なのは、最初から正解を決めて採点することではなく、「何が起きているのか」「なぜそう見えるのか」「会社として何を変えるべきか」を順番に考えることです。
この考え方が、現在のセオンの「ズレを、未来の判断に変える。」という言葉にもつながっています。
Section 05
調査結果ではなく、次の判断を持ち帰ってほしい
私は、調査をしてレポートを納品すること自体をゴールにしたいとは考えていません。
もちろん、正確な調査や分かりやすいレポートは大前提です。けれど、本当に重要なのは、その先です。
この結果を見て、何を続けるのか。
何を変えるのか。
何を止めるのか。
何を、もう一度確かめるのか。
その判断ができなければ、どれだけデータが増えても、企業の中に新しい力は残りません。
そこでセオンは、個別の現場課題を確かめる「現場リサーチ」だけでなく、営業の顧客意思決定を検証するSEON SALES PROOF、メーカーの店頭投資を検証するSEON RETAIL PROOF、そして変化を追い続ける現場売上機会 定点観測へと、現場知の届け方を広げています。
これは、昔の事業を捨てて新しいことを始めるという意味ではありません。
これまで培ってきた「現場を実際に見て、顧客の立場から確かめる力」を、企業がもっと大きな判断に使える形へ広げているのです。
Section 06
AIが進化するほど、「何を入れるか」が大切になる
今、AIによって、分析も、文章作成も、企画も、これまでとは比べものにならない速さでできるようになっています。
私は、この変化を否定的に見ているわけではありません。むしろ、使える技術は積極的に使うべきだと思っています。
ただし、どれだけ優れたAIでも、入力されていない現場の事実を、自動的に把握できるわけではありません。
本部の資料に「POP設置済み」と書かれていれば、AIは設置された前提で考えます。CRMに「価格で失注」と残っていれば、価格が理由だと分析するかもしれません。けれど実際には、POPが見えない場所にあったのかもしれない。顧客は価格ではなく、比較する理由が分からなかったのかもしれない。
だから、AIに何を考えさせるか以前に、「現実を表す材料がそろっているか」が重要になります。
これからのセオンには、この役割がますます重要になると考えています。
AIに答えを丸投げする会社ではなく、AIも人も正しく判断できるように、現場の一次情報をつくり、意味を整理し、比較できる形で蓄積する会社でありたいと思っています。
Section 07
「自社の店舗を見る会社」から、企業が直接把握しにくい現場を見る会社へ
セオンは長い間、小売・サービス企業の店舗を中心に現場を見てきました。
しかし、企業が知りたい現場は、自社店舗だけではありません。
メーカーにとって、小売店の売場は自社では管理できない重要な現場です。商品や販促費を投じても、それが本当にお客様まで届いているかは、自社の中にいるだけでは分かりません。
営業にとっても同じです。営業担当者が何を話したかは記録できても、顧客がどう受け取り、何と比較し、なぜ決めたかは、営業側の記録だけでは見えにくい。
私は、こうした「企業が直接把握しにくい現場」「企業の中からは見えにくい顧客側の現実」まで、セオンが確かめられるようにしたいと考えています。
SEON RETAIL PROOFやSEON SALES PROOFは、そのための専門事業です。
店舗、売場、営業、顧客接点。対象は広がっても、原点は変わりません。
Section 08
一回の調査を、会社に残る現場知へ
もう一つ、これから大切にしたいことがあります。
それは、一回の調査を一回のレポートで終わらせないことです。
現場は変わります。競合も変わります。施策を実施すれば、良くなるところもあれば、新しい問題が生まれることもあります。
だから、本当は「調べて終わり」ではなく、改善後をもう一度見て、前回と比較し、その変化を会社の知識として残していく必要があります。
店舗ごとの違い、地域ごとの違い、施策前後の違い、競合との差。これらを同じ基準で蓄積していけば、現場は単なる調査対象ではなく、企業の判断資産になります。
私は将来、セオンを「必要なときに調査を依頼する会社」だけではなく、「企業が判断するための現場知を継続的に供給する会社」にしていきたいと考えています。
現場で何が起きているかを取得し、ズレを構造化し、比較し、意味づけし、判断し、改善し、もう一度確かめる。
この循環を企業の中に持てるようにすることが、現場知インテリジェンス企業としてのセオンの未来です。
Section 09
難しいことを、難しく言わない
会社の課題は、実際にはとても複雑です。
売上が伸びない理由一つをとっても、商品、価格、売場、販促、接客、競合、本部施策、顧客の期待など、いくつもの要因が重なっています。
だからといって、難しい理論や専門用語を増やせば、問題が解決するわけではありません。
私は、難しいことを難しく説明するのではなく、難しいことを分かりやすくすることも、専門家の仕事だと思っています。
セオンには独自の方法論やモデルがありますが、それらを見せること自体が目的ではありません。お客様が「何が起きているのか」「次に何をすればよいのか」を理解できるようにするための道具です。
現場で起きている複雑なことを、誰かを責める言葉ではなく、会社の中で共有できる言葉に変える。
経営、本部、現場が同じ事実を見て、次の行動を話せる状態をつくる。
私は、そこまで分かりやすく届ける会社でありたいと思っています。
Section 10
こんな企業と、一緒に考えていきたい
セオンは、すべての企業に同じ答えを提供する会社ではありません。
むしろ、「自社ではこう考えているが、現場では本当にそうなのだろうか」と、一度立ち止まって確かめようとする企業と相性がよいと思っています。
- 本部の方針を現場へ出して終わりにせず、本当に機能しているか確かめたい企業。
- 売上結果だけではなく、その前に顧客が何を見て、どう迷い、なぜ選んだのかを知りたい企業。
- 現場を責めるのではなく、仕組みとして何を変えるべきか考えたい企業。
- 一度の改善で満足せず、実施後の変化まで確かめたい企業。
- AIやデータを活用しながら、その前提となる現実の情報も大切にしたい企業。
すでに課題が整理されている必要はありません。
「何となく違和感がある」「数字だけでは理由が分からない」「どこから見ればよいか分からない」。そんな段階からでも、何を現場で確かめれば次の判断につながるかを一緒に整理できます。
Section 11
これからも、現場から考える
時代が変わっても、セオンが大切にしたいことはシンプルです。
思い込みで決めない。
数字だけで決めない。
現場だけを責めない。
一度の結果で終わらせない。
そして、実際にそこにいるお客様や現場の事実から考える。
私はこれからも、セオンを大きく見せることより、「この会社に頼めば、今まで見えていなかった現実が分かる」と思っていただける会社にしていきたいと思っています。
現場の事実は、ときに企業が考えていた仮説と違う答えを返してきます。
しかし、そのズレこそが、次の改善や、新しい売上機会や、より良い経営判断の入口になる。
だから私たちは、これからも現場を見ます。
この言葉を、単なるスローガンではなく、一つひとつの仕事で実現していきたいと思っています。
株式会社セオン 代表取締役CEO 本多 正克
現場知インテリジェンス企業
